【Q&A】EPMの「M」ってナニを表しているの?
- 本堀 雷太

- 2025年1月1日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年6月16日
パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。
年の初めに謹んでご挨拶申し上げます。
今年もパナ・ケミカルの皆様と共に少しでもお客様のお力となるべく努力して参りますので、宜しくお願い致します。
さて、この会員ページでは、会員の皆様からのご質問を随時お受けしています。内容に応じて、パナ・ケミカルの担当者や各分野の専門家がお答え致します。
今回は機械メーカーのお客様の従業員の方から、「エチレンープロピレンゴムの略称の「EPM」の「M」って何の事なの?」とのご質問を頂きました。
エチレンープロピレンゴムはポリプロピレン(PP)系のポリマー材料の一種で、プロピレンとエチレンを「ランダム共重合」する事で製造します。

エチレンとプロピレンがランダムに結合する事で、不均一な分子構造となり、重合条件によってはゴム弾性を発現する様になります。
この様にポリプロピレンをベースとしたゴムの事を「ポリプロピレン(PP)系ゴム」といいまして、様々なタイプのものが上市されています。
特に重要なのが、エチレンとプロピレンをランダム共重合させた「エチレンープロピレンゴム(EPR)」とエチレンとプロピレンとジエンを共重合させた「エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)」です。
エチレンープロピレンゴムの略称は「EPR」なのですが、これは「Ethylene Propylene Rubber」の各単語の頭文字を並べたものです。
実は、エチレンープロピレンゴムには、これ以外に「EPM」と表記される事が多々あります。
先に述べました様に、「E」は「Ethylene」、「P」は「Propylene」に由来するのですが、「M」はというと・・・?どんな単語の頭文字かが良く分かりませんね。
これが今回ご質問頂いた内容となります。
なお、エチレンープロピレンージエンゴムの略称は「EPTR」であり、これは「Ethylene Propylene Terpolymer」の各単語の頭文字を並べたものです。
「Terpolymer」とは「三元共重合体」の事で、三種類のモノマーユニットから成る共重合体を表しています。
エチレンープロピレンージエンゴムにつきましても、EPTR以外に「EPDM」という略号も良く使われています。
「E」は「Ethylene」、「P」は「Propylene」、「D」は「Diene」に由来するのですが、「M」はというと・・・、これもEPMの場合と同じく、由来が良く分かりませんね。

実は、この「M」とは何かの単語の頭文字では無く、「記号」の一種なのです。
「EPM」、「EPDM」は、「ASTM(アスタム)インターナショナル」の定める基準に基づく略称で、「M」とはこの略号の中に含まれる「ゴムの分類記号」の一種です。
ご存知の方も多いと思いますが、ASTMは様々な工業材料の仕様や試験法の標準化を行っている組織なのですが、「ゴムの分類記号」も標準化の一環として定められた経緯があります。
以下にASTMにより定められたゴムの分類記号の一覧を示します。

これによれば、「M」とは「ポリメチレンタイプの飽和主鎖を持つゴム」を意味しており、ポリマー分子の主鎖がーCH2-の繰り返しからなっている分子構造を持っている事を表しています。
先に示したEPM、EPDMの分子構造を記した構造式を見て頂ければ、これらのポリマー分子の主鎖がーCH2-の繰り返しからなっている事がお分かり頂けると思います。
つまり、EPMやEPDMの「M」とは、「モノマーユニットの名称を表す単語の頭文字」では無く、「ポリマー分子の構造」を示しているという事になるのです。
今回頂いたご質問の内容は、案外ご存知でない方が多いものでありますが、とても大切な内容ですので、是非ご理解して頂けましたらと思います。
