【環境法務】千葉県で有価物保管用のヤードの規制に関する条例が制定されました!
- 本堀 雷太

- 2023年12月2日
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パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。
早いもので、もう年の瀬ですね。寒さも本格化し、こんな時は暖かい鍋物なんかが食べたいですね。
さて、報道等でご存じの方も多いかと思いますが、千葉県で再生処理を目的とした金属スクラップやプラスチック廃棄物を屋外において保管するヤードに関する規制が条例化されました。
この条例は、「千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例」(以下、「本条例」と略します)というもので、2024年4月1日より施行されます。
この条例が制定された背景には、一部のヤードにおいて再生目的の金属スクラップやプラスチック廃棄物が高積載される等の杜撰な管理が行われており、崩落や火災の危険性が高く、また実際に火災が発生した事案もある事に因ります。
またヤード内において、再生処理の為に圧縮や破砕等の中間処理に準ずる処理が施されており、騒音や振動、汚水や廃油の流出等の環境負荷の発生も見られています。
廃棄物の場合は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」の「保管基準」等に基づいて規制をかける事ができるのですが、再生目的の金属スクラップやプラスチック廃棄物については「有価物」として取り扱われるため、廃掃法が適用されません。
この様な実情を鑑み、今回千葉県において、再生目的の金属スクラップやプラスチック廃棄物の「有価物」を「屋外」に保管するヤードに関して規制する条例が制定された訳です。
本条例のポイントを以下に示します。

“再生”を目的とした金属スクラップやプラスチック廃棄物を「特定再生資源」と位置付け、ヤード内の屋外で保管する場合の基準を定めています。
特定再生資源には、1)「使用を終了し、収集された製品(金属又はプラスチック)」と、2)製品の製造や加工等の過程で生じた金属又はプラスチックの端材等が含まれます。
そのため、1)有価で売却する目的で収集したプラスチック廃棄物を屋外で保管する場合や、2)成形加工業者の方が工場内リサイクルのために屋外に端材を保管する場合(実際には、この様に有価で取引できるレベルのプレコンシューマー品を屋外に保管する様な事はあまり無いと思いますが・・・)には、特定再生資源に該当するため本条例が適用されます。
特定再生資源を取り扱う事業者の方は、「事業所ごとの事業許可(保管業の許可)」の取得が義務付けられますが、この事業許可は廃掃法に基づく「業の許可」とは別のものですのでご注意下さい。
そのため既存の事業者、つまり現段階で特定再生資源を取り扱っている事業者(中間処理業者等)も「事業所ごとの事業許可(保管業の許可)」の取得が必要となります。
そして、本条例においては、「保管を行う土地の所有者等にも責務が生じる」という点が重要です。
これは土地の所有者と事業を行う事業者をウヤムヤにして責任逃れする可能性を排除する為に設けられた条項であります。
故に、土地の所有者は、保管業を営もうとする者に土地を提供する際には、適正に保管事業を行う事ができるかどうかを確認する必要が生じます。
この点は別途、土地の貸借に関する契約書にも反映させる必要がありますね。
また保管業の許可の取得に際しては、許可申請前に周辺住民に対する説明会の開催などによる周知も義務付けられました。
これはかなり厄介です。
中間処理業や最終処分業を営んでおられる事業者の方はご存じだと思いますが、周辺住民への説明や周知というのは非常に大変です。
「事業所からどこまでの範囲の住民を「周辺住民」とするのか?」、「どこまで説明する必要があるのか?」、「説明しただけで良いのか?同意が必要なのか?同意が必要ならば、それは書面(同意書)の形にしなければならないのか?」・・・、次々と疑問が湧いてきます。
と申しますのも、廃掃法の許可においても「周辺住民への事前の説明と同意」というものが許可の要件になっているケースがあり、その内容は自治体ごとに異なっています。
ある自治体では、敷地に隣接する住民のみを同意の対象とし、ある自治体では事業所から○○m内の住民を同意の対象としているといった具合で運用が異なっているのです。
本条例ではどこまでの範囲の住民を「周辺住民」と位置付けているのか注視する必要があります。
あと、保管基準や現場責任者の選任などの事項も定められているのですが、本条例の運用に関する詳細は「施行規則」の形で年内に発表される予定ですので、そちらを確認して頂く形となります。
本条例は、廃掃法と同様に違反した場合の命令や罰則も定められていますので、事業を安定かつ持続的に営むためには適切に対応する必要がります。
この会員ページでも、本条例の運用に関する施行細則が明らかになった時点で、その詳細を取り上げたいと思います。
この様なヤードにおける保管についての規制が、千葉県のみならず全国に波及するのかという点は注意深く眺める必要がありますね。
