top of page

【技術解説】サンドイッチ成形法によるマテリアルリサイクル

パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。ようやく春めいてきましたね。


さて、今回はマテリアルリサイクルに関する成形技術を一つお話しさせて頂きます。


プラスチックのマテリアルリサイクルの歴史を鑑みますと、如何にして「単一種の素材で汚れ(夾雑物)の少ない廃プラスチックを確保するか」という点に重きが置いていたかが良く分かります。


そのため、分別の徹底により異物を除去する事がマテリアルリサイクルをビジネスとして成立させる最低要件とされてきました。


しかし、近年プラスチック素材の多様化や素材同志の複合化が進んだ事に加え、様々な添加剤が使用される様になった事により、単純な分別だけでは素材が単一で夾雑物の少ないプラスチック原料を得る事が困難になりました。


そこで、分別の手間を省いても再生材に必要とされる物性が確保できるマテリアルリサイクル手法の開発が進められています。


代表的なものとしては、「アロイ化による再生」や「サンドイッチ成形による再生」などが挙げられましょう。





アロイ化とは、「異種のプラスチック同志を何らかの手法で混ぜ合わせた結果、ミクロに共存した多成分系を形成させる処理」と定義する事ができます。


しかし、これでは何を言っているのか良く分からないと思いますので、今の段階では「異なるプラスチック同志を良く混ぜ合わせたもの」程度に思って下さい(実際はもっと複雑です)。


ただし、アロイ化は非常に重要な技術ですので、いずれこの会員ページでも基礎レベルから集中的に取り上げる予定です。


アロイ化の事例としては、パソコンやテレビの躯体に使われているポリカーボネート(PC)/ABSのアロイが有名です。


ABSの弱点である耐熱性をPCでカバーし、PCの弱点である成形性(流動性)をABSでカバーしています。


アロイ化は、「それぞれのプラスチックの弱点を補い合う処理である」と言える訳でありまして、マテリアルリサイクルにおいても適用可能な場面があるのです。


しかし、アロイ化は物性の制御のために非常に高度な分散技術が必要であり、また特にプラスチック廃棄物のマテリアルリサイクルにおいてはアロイ化するプラスチック組成を一定に制御する必要があります。


これは中間処理の現場で行う上で、非常に高い技術的な障壁であると言えます。


そこで、分別の手間を省きより簡単に再生できる技術として開発された手法が「サンドイッチ成形法による再生技術」です。


サンドイッチ成形とは、二材成形技術の1つで、2本のスクリューから別々の樹脂を順次金型に送り込む事で成形します。


具体的には、スキン層材料を一定量射出した後にコア層材料を射出する事により、スキン層材料がコア層材料を包み込みます。


つまりスキン層とは成形物の表面層、コア層とは成形材の中心部ということになります。読んで字の如くですね。


金型には通常の射出成形用の金型を用いる事ができ、またコア層に発泡剤を添加した樹脂を用いる事で、表面光沢に優れた発泡体も成形する事ができるという実に適用範囲の広い便利な技術です。





このサンドイッチ成形法において、コア層に廃プラスチックを、スキン層にバージンプラスチックを用いれば、廃プラスチックをバージン材で包んだ(=サンドイッチした)成形品ができる訳です。


2000年代に入ってコピー機(複合機)の躯体において、コア層に再生材を用いた製品が上市され、マテリアルリサイクルの新たな手法として注目されました。


また物流の現場で使用されるパレットには、再生材をサンドイッチ成形したリサイクルパレットも流通しています。


サンドイッチ成形法の大きなメリットは表面(スキン層)にバージン材を使う事ができる事に有ります。このメリットは再生材において衛生面から従来困難とされた食品容器へのリサイクルを可能にしました。


事例として再生ポリスチレントレーの断面写真を示します。





コア層には再生ポリスチレンの発泡体を、スキン層にはバージン材ポリスチレンのフィルムを用いています。


上の写真の右下に示しました顕微鏡写真をご覧いただきますと、コア層の発泡体のセル室とスキン層のシートが御確認頂けると思います。


このトレーの製法ですが、まず再生ポリスチレンペレットに発泡剤を加え、押出シート加工(シーティング加工)します。続いてこの再生シートにバージン材から作ったシートをラミネートしてサンドイッチします。


この様にしてできたサンドイッチ成形物を真空成形することでトレーに生まれ変わります。


プラスチックのマテリアルリサイクルに社会の関心が集まる中で、成形法からマテリアルリサイクルの手法を考えるという事は技術的に非常に大きな意義が有ります。


先人達が築いてきた膨大な技術を振り返り、マテリアルリサイクルに応用できる可能性を検討してみる価値はあるのではないかと思います。




 
 
bottom of page