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【労働安全衛生】 清掃や調整に伴う破砕機の巻き込み事故にご用心を!

パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。朝夕は涼しく、秋の訪れを感じますね。


さて、最近、廃棄物処理の現場において破砕機の巻き込み事故が多発しています。


破砕機は廃プラスチックの中間処理を行う上でとても重要な装置です。


廃プラスチックの破砕処理により、処理物の減容や均質化といった効果が得られ、輸送や再生処理を効率的に進める事が可能となります。そのため、多くの事業所で採用されています。





他方、破砕処理は廃棄物中間処理において、「最も事故が多発している単位操作」でもあるという側面も持っています。


特に破砕機への「巻き込み事故」は頻発しており、廃プラスチックの破砕処理においても年に数件、死亡事故を含む重篤な労働災害も発生しています。


巻き込み事故の多くは、破砕口への投入作業時に起きています。投入物に紐が絡まったりして投入物と共に破砕機へ引きずり込まれる様な故が頻発しています。


この様な事故を防ぐために、ベルトコンベアなどを設置して、作業者と破砕口の距離を離したり、紐などの異物の除去を徹底したりするなどの対策が施されてきました。


破砕機は、処理に伴い発生する粉塵が装置周辺に飛散したり、破砕刃に汚れが付着したりするため、定期的に清掃する必要があります。





清掃を怠れば処理能力の低下や火災などのリスクも高まりますので、適切な施設管理の一環として清掃は重要な位置を占めています。


ところが、実はこの「破砕機の清掃時」にも巻き込み事故は頻発しているのです。


事故例を一つ御紹介します。


2012年に大阪府東大阪市のプラスチック成形加工業者の工場で、プラスチックを粉砕するミキサー(直径約1.3m、深さ約1m)の内部で従業員の方が死亡する事故が発生しました。


この従業員の方は、ミキサーの内部を一人で清掃していたそうですが、別の従業員が他のミキサーを稼働させる折に、誤って清掃作業をしているミキサーを稼動させてしまいました。


この結果、清掃作業をしていた従業員の方は、破砕用の高速回転するプロペラに巻き込まれ、死亡してしまいました。


この事故においては、二つの大きな問題点が散見されます。順に見て参りましょう。


(1)なぜ、清掃中にプロペラが回転したのか?

破砕機や粉砕機は、何らかのはずみで動き出す可能性があります。そのため、清掃時など人が装置内部を触れたりする場合には、電源を切って動力を遮断しなければならなかったはずです。


また、作業者以外の人にも、「清掃中であり、動力が遮断されている」事が確認できるような表示システムや作業用の看板が設けられていなければなりません。


本件では、清掃作業に従事していた従業員の方とは別の方が、誤ってミキサーを稼動させた事が大きな原因であります。


動力が遮断され、また清掃作業を行っている事が情報として伝わっていれば、この様な事故は防ぐ事ができた訳です。


(2)なぜ、一人で清掃作業を行ったのか?

破砕機などの装置類の清掃作業は“本質的に”危険が伴う作業です。


先に述べました様に何らなのはずみで装置が動き出す事もありますし、装置の倒壊や崩落といった危険もあります。


そのため、絶対に一人で作業を行ってはなりません。複数人で作業を行っていれば、仮に事故が発生した場合にも、救助などの対処をする事ができます。


また清掃作業を安全に進めるための、管理者への作業の届出と記録、マニュアルの整備、安全教育といったソフト面での安全管理システムを創り上げる事も重要です。


さて、この破砕機の清掃について、法令ではどの様に定められているのでしょうか?


実は労働安全衛生規則の107条と108条に、機械の掃除、給油、検査、修理、調整などの作業を行う際の、安全対策が述べられています。





これによれば、清掃作業を行う際には、基本的に機械の運転を停止すると定められています。


また、「機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない」と定められています。


実際の所、起動装置に錠を掛けるまでやっている所は少ないと思いますが、確実に機械を停止させ、作業者以外の者が起動装置に触れる事ができない形にする事は安全管理上非常に重要です。


また安全に作業を進めるため、機械の運転を停止した後、機械の可動部分を停止させるためのブレーキを備えておく事も重要です。


さて、ここで条文について注意して頂きたい点が一つあります。107条に定める作業の中の「調整」という項目についてです。この「調整」という項目は2013年10月1日より新たに追加されたものです。


破砕機については、「破砕機の稼動中に破砕刃の部分に挟まった破砕物や異物を除く場合」など、稼動中の不具合を除く作業と解されています。





この破砕物や異物を除く作業においても、必ず一旦破砕機を停止し、十分に安全を確認した上で行って頂かなければなりません。


また、調整という作業についても、作業手順を定め、適切な安全教育を行って適切に進める必要があります。


破砕機を末長く、安全に使って頂くためには、こまめに清掃をして頂く事が望ましいのですが、この清掃という作業自体に潜む“危険”を良く把握して頂き、対処して頂ければと思います。




 
 
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