【廃棄物の豆知識】「廃」と「排」、何が違う?
- 本堀 雷太

- 2023年4月1日
- 読了時間: 3分
パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。
環境関係の仕事をしておりますと、水処理関係の案件を多くお受けするのですが、報告書を書く際に疑問に思う事があります。
突然ですが、皆様、「廃水」と「排水」って何がどう違うと思いますか?どう使い分けていますか?
技術書を見ても、「廃水」と「排水」の双方が用いられています。

また、省エネ関係の案件では、熱エネルギーの有効利用を検討する事がありますが、この折にも、「廃熱」と「排熱」という言葉の使い分けに戸惑う事があります。
ところが、ごみ処理やリサイクルの関係では、専ら「廃棄物」という言葉を用い、「排棄物」とは言いませんよね。
どの様にして、「廃」と「排」を使い分ければよいのでしょうか?
そこで今回は、「廃」と「排」の違いについて取り上げてみたいと思います。
まず、辞書で「廃」と「排」の意味を調べてみました。小学館の「日本国語大辞典(第二版)」によれば、「廃」には「役にたたなくなる」とか「用いることをやめる」、「すてる」という意味があるそうです。
他方、「排」には、「おしひらく」とか「おしのける」、「しりぞける」、「外へおしだす」という様な意味があるそうです。

どうやら、「廃」には、「用いていたけれど、役に立たなくなったので、用いるのをやめたり、捨てたりする」というニュアンスが含まれているようです。
その一方、「排」については、「不要になったものを、しりぞける」という意味を持っており、「そのものが従前に用いられていたか否かは問わず、単に捨てる」という感じの様です。
つまり、「廃」も「排」も「不要なものを除外する」という意味なのですが、特に「廃」はその除外する対象物が“使用を経て”不要になった場合に用いるという事になります。
事実、辞書で「廃水」と「排水」を調べてみますと、廃水とは、「使用して役に立たなくなった水。用いた後、捨てられた水。」、排水とは、「不要、または有害な水を他所に排除し流しやること。また、その水。」と記されていました。
やはり、「使用を経ているか否か」という点が両者を使い分けるポイントの様です。

この考え方に基づけば、「廃水」という言葉を使う例としては、「工場廃水」(工場から排出される汚れた水)、「廃水処理」(使用により汚れた後に排出された水を処理する)などが挙げられましょう。
他方、「排水」という言葉を使う例としては、「生活排水」(生活活動に伴って排出された水)、「排水基準」(排出された水の基準)などの使い方が挙げられますね。
先に述べました「廃熱」と「排熱」についても、同じような考え方を適用する事ができます。
廃熱とは、ごみの焼却処理に伴って発生する熱の様に、“副次的に”発生する熱の事であり、排熱とは、不要となった熱を外部に排出する事であると言えます。
「廃ガス」と「排ガス」についても同様に、副次的に発生するガスの事が「廃ガス」、不要となったガスを外部に排出するものが「排ガス」という事になりますね。
ところで、この会員ページをご覧の皆様に関係が深い「廃棄物」という言葉ですが、先にも述べました様に、「排棄物」とは言いませんよね。
実は、言葉の上では、「廃棄」も「排棄」も存在します。
辞書では、廃棄とは、「不要なものとして捨てること。やめて用いないこと」、排棄とは、「おしのけすてること。排斥し、捨てること」と記されています。
両者の違いは、やはり、「使用を経ているか否か」という点がポイントとなります。
廃棄物とは、辞書では、「不要として捨てさるもの。敗物。廃物。」と記されていますが、これは、「使用を経たものが、不要となり、その結果、捨てられたもの」と解するべきです。
基本的に、廃棄物は何らかの形で使用を経ていますので、「排」ではなく、「廃」の字が用いられている訳です。
たかだか、「廃」と「排」といった文字の違いなのですが、深い意味があるんですね。
