【化学経済】原油の単位「バレル」とは?
- 本堀 雷太

- 2025年6月1日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年6月13日
パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。
この会員ページでもたびたび原油相場について取り上げていますが、原油価格の動向はプラスチック原料、ひいては再生プラスチック原料の価格動向に大きく影響する訳でありまして、皆様も興味をお持ちの事だと思います。
さて、この原油価格についてですが、テレビや新聞で「1バレル○○ドル」と報道されているのを皆様ご覧になっているのではないでしょうか?

でも、この「バレル」とは、そもそも一体どの様な単位なのでしょうか?
実は、バレルとは、主にアメリカで用いられている単位系「ヤードポンド法」における体積の単位です。
国際単位系である「メートル法」を用いている我が国ではあまり聞き慣れない単位ですね。
バレルの語源は、「樽(Barrel)」であります。なぜ、“樽”が“原油”の単位なのか不思議ですね。順にお話して参りましょう。
1859年、Edwin Drakeにより、アメリカのペンシルベニア州北部のタイタスビルに大規模な原油鉱床が発見されました。これより機械掘りによる原油の大量生産が始まり、アメリカ各地で原油開発が活発に行われる様になりました。
当時は、燃料油である灯油に対する需要が主であり、油田から汲み揚げられた原油は製油所へ運ばれて灯油に精製されていました。
現在の様にパイプラインなどという便利なモノはありませんので、馬車や鉄道により製油所へ輸送されていた訳ですが、この原油輸送用の容器にウイスキーの熟成に使われるシェリー酒用「木製の樽」が使われていました。

この木製の樽による輸送に伴い、樽の体積と個数を基準として、原油の計量と価格設定が行われるようになり、今日もこの名残で「バレル=樽」という単位が用いられている訳です。
さて、現在、1バレルは42ガロン(米液量ガロン)と決められており、これは158.987294928リットルに当たります。
1バレル(bbl)=42ガロン≒159リットル
それにしても、「1バレルが42ガロン」というのは何だか中途半端な決め方ですね。実は、これには諸説ありまして、私がこれまでに聞いた説を紹介します。
(説1)初めに42ガロンの鰊樽を用いたという説
ペンシルベニアの油田では、42ガロンの鰊樽に原油を詰めて輸送したため、これを1バレルとしたという説。石油関係の教科書で良く見る話です。
(説2)目減りしてしまって42ガロンになってしまったという説
当初、アメリカでは、木製の樽に50ガロンの原油を入れて輸送を行っていました。ところが、漏れや蒸発により、目的地に着くまでに42ガロンに目減りしてしまったため、これを1バレルとしたという説。
(説3)目減りをカバーするために42ガロンとしたという説
当初、アメリカでは、木製の樽に40ガロンの原油を入れて輸送を行っていました。ところが、原油の生産量増加に伴い樽が不足し、急場しのぎに作られた品質の悪い樽が出回る様になりました。
この品質の悪い樽を用いた場合、目的地に到着するまでに、原油が漏れたり、蒸発してしまったりする事があり、顧客からのクレームが続発しました。
そこで原油生産者は出荷時に40ガロンの5%増しの42ガロンを入れて出荷することで、目減り分をカバーすることにし、1ガロン=42バレルとする事を決めました。
どの説が正しいのか、それとも全ての説が誤りなのか、今となっては分かりませんが、いずれの説も石油産業の勃興時の姿が垣間見えるエピソードだと思います。
さて、もう一つバレルにまつわるお話を。
バレルの単位は「bbl」と記しますが、バレルの綴りは「Barrel」であり、これの略であるとすると“b”が一つ多い事になります。
この一つ多い“b”についても諸説ありまして、これについても私が聞いた説を紹介します。
(説1)bは「blue」のb
bblの最初のbは「blue」のbであり、bblは「Blue Barrel」の略であるという説です。
なぜ、「blue」なのかと言いますと、原油が入った樽と酒が入った樽を間違えない様に、原油が入った方の樽を青く塗った為であると言われています。
なお、樽を青く塗ったのは、John Rockefellerが1870年に設立したスタンダード・オイルが原油用の樽として青い塗装をした42ガロンの木樽を用いたためとの説もあります。
後にスタンダード・オイルは、米国内の石油精製・販売の約9割を独占するに至り、この青い樽も普及していった結果、「Blue Barrel=bbl」となったとの事です。
(説2)梱包の単位「bale」と区別するためにbを重ねた
梱包を表す単位に「Bale:bl」というものも用いられており、これと区別するため、原油の単位の方にはbを重ねてbblとしたと言われています。
いずれにせよ、由来はともかく、「1ガロン=42バレル≒159リットル」というのは頭に入れておいて頂きたいですね。
