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【まめちしき】PETボトル用キャップの「ベントホール」とは?

パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。


パナ・ケミカルでは月に1回「資源プラ“虎の穴”」という社内勉強会を開催しています。


お客様に適切なご提案が出来る様、リサイクルに限らずプラスチックに関するあらゆる分野の知識を習得するため、技術、市況、法務、社会動向などに関するテーマを取り上げています。


勉強会の内容の一部は、動画とレジュメ(PDF)の形でこの会員ページでもアップさせて頂いておりますので、こちらの方もご覧頂けますとご参考になる部分も多くあるかと思います。


さて、今回は資源プラ”虎の穴”の中で取り上げた内容の一部を抜粋し、プラスチックに関する【まめちしき】としてお話しさせて頂きます。


皆様、PETボトル飲料を買った際に、キャップの上部に何本かの“切れ込み”が入っているのを見た事がありませんか?


全てのボトルキャップに入っている訳ではなく、緑茶飲料などで良く見られます。ただ緑茶飲料のキャップでも、全てに切れ込みが入っている訳では無いようです。


今回はこの“切れ込み”の正体についてお話しさせて頂きます。


この“切れ込み”は、ボトルに飲料を充填する際に溢れたり、飛散したりして茶渋などの汚れが付着した口部を洗い流す為の“穴”でありまして、「ベントホール」とか「リンスホール」、「洗浄用スリット」などと呼ばれます。


以下に断面図を示しますが、ボトルキャップの側面の一部に切れ込み(スリット)が入っている事が分かりますよね。





さて、続いて下図をご覧下さい。


同じ緑茶飲料でも、上図の左側のボトルのキャップにはベントホールがありますが、右側のボトルキャップにはベントホールがありません。


一体この違いは、“ナニ”に由来するのでしょうか?


実は、内容物(飲料)の「充填温度」と「充填率」により、ベントホールの有無が決まるのです。


左のボトルに注目しますと、ボトル一杯に緑茶が充填されている事に加え、ボトルの口部が白くなっています。これは衛生面や品質面に配慮した「高温充填法」を採用している証拠です。


雑菌の侵入等を防ぐため、飲料を80~90℃付近に加熱した状態で充填を行います。さらに品質の劣化を避けるため、ボトル内に空気が残らないよう目一杯充填しています。


口部が白いのは、口部のみを130℃程に再加熱して結晶化度を高め耐熱性を向上させたためです。通常の透明な口部では、高温充填した際に口部が変形してしまう恐れがありますので、この様な「結晶化処理」が施されている訳です。


また空気との接触を断つためボトルに飲料を目一杯充填する事は、口部に飲料が溢れたり、飛散したりする可能性を孕んでいます。


ただし、衛生管理上、飲料の充填が終了したら直ちにキャップをはめなければなりませんので、キャップが付いた状態で口部に付着した汚れを洗浄を行う必要が生じました。


そこで、「ベントホール」という仕組みが考え出されました。


なお、右側のボトルでは高温充填法が採用されておらず、充填率も低いですが、これは決して非衛生的である訳ではありません。


飲料によっては、加熱により風味が損なわれたり、味が劣化したりする事がありますので、この場合は溢れない様な充填法を採用したり、充填以前の工程における衛生管理を徹底する事で衛生を確保しています。


さて、ベントホールの“働き”ですが、高温充填を終えたペットボトルはキャップを締めた状態で温水シャワー洗浄されます。


この時、キャップは高温の飲料が充填されたボトルの影響で熱膨張し、ベントホールの切れ目も大きく開きます。ここにシャワー水が付着すると、キャップとボトルの隙間に水が侵入して口部を洗い流します。


「毛細管現象」を巧みに利用した方法ですね。





なお、上図に示しました様に、キャップの天井部と口部は密着していますので、洗浄水がボトルに入る事はありません。


そして、シャワー洗浄を終えたボトルの温度が低下するに伴って、ベントホールの切れ目も閉じていく事になります。


身の回りにあるプラスチック成形品にも、実に巧みな機構が採用されているものですね。


今回は、パナ・ケミカルの社内勉強会「資源プラ”虎の穴”」で取り上げた内容の一部をご紹介させて頂きました。


動画とレジュメの方は後日アップされますので、そちらもご覧頂けますと有難いです。



 
 
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