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【まめちしき】「春節」ってナンだ?

パナ・ケミカルの技術顧問を務めさせて頂いています本堀です。


事務所の庭先のロウバイの花が咲いているのを見ると、寒いながらも、少しずつ春が近づいているのを感じますね。


この時期になると、中国の広東のお客様から新年のご挨拶のメールが送られてきます。


その文面には、「新年快楽 共喜發財」と記されています。春節(旧正月)のご挨拶ですね。





今年の春節は1月22日(日)との事で、中国のみならず香港や台湾、東南アジア諸国の華僑社会で大型連休がスタートします。


先に示したお客様からのご挨拶メールですが、広東語では、「サンニン・ファーイロック ゴンヘイ・ファッチョイ」と発音するそうです。


意味は「新年おめでとうございます お金が溜まりますように」だそうです。


新年早々、お金の話をするのも如何なものかと思いますが・・・。やはり民族性の違いなのでしょうね。


さて、この春節というものは、中華圏で最も大切な祝祭日でありまして、中国以外に、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、韓国などの多くの華人社会で盛大に祝われます。


この期間は里帰りや旅行をされる方が多いため、まさに“民族大移動”の様相になるそうです。


中国の労働者の多くは、日本の大晦日にあたる「除夕」の2週間ほど前から休暇に入るそうで、春節の期間を含めると1ヶ月程の休みになるそうです。


このため、春節前後には中国や東南アジア諸国の経済活動が鈍る事になります。


下図を御覧ください。これは中国からのポリエチレンテレフタレート(PET)の輸入量の月次推移を示したものです。





やはり、旧正月前の1月期の輸出量は少なくなっていますね(2022年の春節は2月1日でした)


この春節の時期における物流の停滞というものは、中国をはじめとする華人社会と取引していく上で十分に理解しておく必要があります。


ところで、この「春節」とは、そもそもどの様なものなのでしょうか?


一言で言ってしまえば、「旧暦の正月」という事になります。


中国や東南アジア諸国の華人社会では、現在多くの国で採用されている太陽暦(新暦)ではなく、「太陰太陽暦」という暦法、いわゆる「旧暦」に基づいて正月を祝っています。


ご存知の方も多いとおもいますが、太陽暦は「太陽の動き(公転周期)」を、太陰太陽暦は「月の動き(満ち欠け)」を基準としたものです。


太陽暦では、地球の太陽に対する公転日数365日を1年とし、生じる誤差については4年に一度、いわゆる閏年(うるうどし)に1日差し入れて調整しています(閏日)。


他方、太陰太陽暦においては、新月~満月~新月のサイクルを1月としており、平均が29.5日となります。12ヶ月では354日となり、太陽暦の1年365日と11日の差が生じます。


この差を埋めるため、太陰太陽暦では3年に一度の閏年に1月の閏月を入れて1年を13カ月として調整を行うのです。


このため、太陰太陽暦では、旧正月の日付が毎年変わるのです。故にこの記事の初めに「“今年”の春節は1月22日(日)・・・」と述べた訳です。


「春節」とは正月の始まり(初一)を示していますが、古くは「元旦」と言われていました。


「元」は「物事の始まり、根源」を表し、「旦」は水平線から昇る太陽を象った象形文字です。


つまり、元旦とは正月の始まりに太陽が昇る日を表しているのです。


我々が「初日の出」を尊ぶのも、こんな所に由来があるのかもしれませんね。


我が国でも明治期以前は旧暦で正月を祝っていたのですが、現在では新暦に基づいて正月を祝っています。


これは、明治期に「脱亜入欧」という欧米に対するコンプレックスに基づく愚策によって新暦に改正した事に由来しています。


さて、この春節には色々な行事が執り行われるのですが、その中の一つを御紹介します。


下の写真をご覧下さい。







これは台湾のとある民家の入口を撮影したものです。


扉の周りに何か文字が書かれた赤い紙が貼りつけられていますね。


これは、「春聯」といいまして、春節に扉の左右に縁起の良い言葉(対句)を記した赤色の細長い紙を貼り付けるというものです。


また扉の上部にも縁起の良い言葉を書き連ねた赤色の細長い紙を貼る事がありますが、これは「横批」と言います。


従来は、家への鬼神の侵入を防ぐという呪術的な意味があったそうですが、現在では平安を願う習慣となっているそうです。


扉の左側を見て頂きますと、「春」という字が記された赤い紙が逆さまになって貼り付けられています。


これは、「倒春」といわれるもので、春の到来を願い、そして祝うものです。


なぜ逆さまに張るのかと言いますと、中国語で逆さまにする事は「倒」と表記され、「ダオ」と発音します。


そして到達を意味する「到」も同じく「ダオ」と発音されます。


つまり、「春」という文字を逆さまにする(=春倒了)ことで、「春が到達する(=春到了)」と読み替えているのです。


一種の言葉遊びなのですが、実に面白い習慣ですね。


今回は中華圏最大の祝祭日である「春節」についてお話しさせて頂きました。


中国や香港、台湾、東南アジアの華僑などの華人社会と上手くお付き合いしていくために、お互いの文化に対する理解を深めていく事は大切だと思いますね。


 
 
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