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【技術解説】
優れた装置が支える
​マテリアルリサイクルの理想形

【解説】株式会社パナ・ケミカル技術顧問 本堀雷太
2021年4月1日

前回、発泡スチロール(EPS)製魚箱のリサイクルを例に、処理作業に従事するヒトこそが最高の識別装置であり、このヒトの能力は長年の経験に基づくというお話しをさせて頂きました。 

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今回はその流れとして、「ヒトの能力を支える技術としての処理装置の機能」の例を一つ挙げてお話しさせて頂きます。 

以前、この会員ページでも取り上げた事がありますが、プラスチックのマテリアルリサイクルを成立させるためには、「経済的な合理性」と「技術的な妥当性」の双方が両輪の轍の様に機能する事が必須です。 

そしてプラスチックのマテリアルリサイクルを持続的に営むためには、プラスチック廃棄物の処理物や再生プラスチック原料が安定に取引される必要があり、この取引要件の一つが「品質」という事になります。 

このプラスチックのリサイクルにおける品質は、処理作業に従事する「ヒト」とヒトが使いこなす「技術(装置)」によって生み出されます。 

ヒトの優れた能力を処理技術や処理装置が支える形がプラスチックのリサイクルの理想形であり、従来の「廃棄物を処理する」という視点から一歩進んだ「廃棄物を原料に資源を製造(工業原料)する」という大きな転換を促す事になります。 

前置きはこれぐらいにしまして、今回は品質を向上させるために必須の要件であります「異物の除去」に関する技術について見て参ります。 

プラスチック廃棄物の中間処理を行う上で頻繁に利用される単位操作の一つに「破砕」や「粉砕」といわれる操作があります。 

廃棄物のかさ(体積)を減じて均質化することでハンドリング性を向上させ、後工程である再生処理をスムーズに進める効果があります。 

しかるに破砕や粉砕を施す際に作業者によって予め異物の除去が行われていなければ、異物は廃棄物と共に破砕や粉砕されてしまいます。 

処理物(破砕品、粉砕品)から後で異物を除去するというのは”至難の業”でありまして、それだけに作業者の持つ「ヒトの能力」というものは非常に重要です。 

ですが、作業者も”人の子”でありまして、実際の現場では異物を見逃してしまう事もあります。 

そんな場合に備え、処理装置の中には異物の除去工程が組み込まれたものも存在するのです。

下写真をご覧下さい。 

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これはパナ・ケミカルのお家芸である「発泡スチロール(EPS)のリサイクル」の現場で使用されている破砕機((株)名濃製)です。 

投入された発泡スチロールは、ベルトコンベアに沿って破砕口に至り粗破砕が施されます。 

粗破砕物は破砕機後部に備えられた空送用フードより吸い上げられ、ストックタンクへ空送されます。 

実は、この空送用フードの部分に異物除去の機構が組み込まれているのです。下写真をご覧下さい。 

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先に述べました様に、粗破砕が施されたEPS製魚箱粉砕物は高速で移動するコンベアを移動し、空送用フードに吸引されてストックタンクへ空送されます。 

その際、EPS破砕物と異物の比重差を利用して両者の分別が行われ、異物はコンベアとフードの間隙に落ちて異物回収トレーに回収されています。 

文章では良く分からないかもしれませんので、実際に異物(輪ゴム)が除去される様子を連続写真で見てみましょう。 

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まず、作業者によって見逃された異物(輪ゴム)が発泡スチロールと共に粗破砕され、破砕物と共に高速で移動するコンベア上をフードに向かって移動していきます。 

コンベアの末端部においてフードよりファンやブロワーの作用により吸引されますが、輪ゴムの比重は発泡スチロール破砕物よりも大きいため重力の影響でフード内には吸い込まれません。 

その結果、コンベアとフードの間隙に落下し、間隙の下部に据え付けられた異物回収用トレーに回収されるのです。 

良く出来ているでしょ。 

この異物除去機構により作業者が見逃した様々な異物が除去されています。 

私が調査したところでは、下写真に示す様な異物が分離回収されていました。 

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「こんな優れた異物除去機構が存在するなら、無理にヒトの力で分離する必要なんかないじゃないの?」と思われる方もおられるかもしれませんが、それは大間違いです! 

この機構は、発泡スチロールと比重が大きく異なる少量の異物に対して適用できるものであり、あくまでも「ヒトの異物除去作業を補完するもの」です。 

処理作業の主役は「ヒト」であり、その作業の効率性を高め補完する存在が技術(装置)という事になります。 

大切な事は、「ヒトが技術(装置)を使いこなし、処理物の品質を創り上げる」仕組みを構築する事です。 

この仕組みこそがプラスチックリサイクルの理想形であり、プラスチックリサイクルを営む事業所が目指すべき姿であると言えます。 

「ヒト」と「技術(装置)」が育むプラスチックリサイクルこそが次世代を担う資源循環の輪を支えるのです。 

おそらく皆様の事業所で日夜頑張って稼働している処理装置にも、今回紹介させて頂いた様なヒトの能力を陰ながら支える仕組みを持ったものがあると思います。 

技術や装置を上手に使いこなして品質に優れたプラスチック処理物を生み出していきたいですね。 

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