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【環境法務】
発泡スチロール減容処理装置の破砕機に関する
産業廃棄物処理施設の許可について

【解説】株式会社パナ・ケミカル技術顧問 本堀雷太
2020年10月25日

廃棄物処理業を営む上で「許認可手続」というものは避けて通る事ができない大きな“課題”です。

この会員ページをご覧の皆様の中にも、中間処理業を営み実際にご自身で新規許可申請や更新申請をやっている方もおられるでしょうし、また行政書士に申請を代行してもらっている方もおられるかと思います。

中間処理業を営む場合、

(1)産業廃棄物処理業の許可(業の許可)
(2)産業廃棄物処理施設に係る許可(施設の許可)

の2つの申請事務が重要です。

業の許可はほとんどの場合、当然必要でありまして処理業を営んでおられる皆様が取得されていると思います。

問題は「施設の許可」であります。

廃棄物処理法15条では、産業廃棄物処理施設のうち、政令で定めるものを設置しようとする者は、設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない旨、定められています。

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そしてこの政令(廃棄物処理法施行令7条)において、廃プラスチックの処理施設、特にマテリアルリサイクルに関係するものとしては、7号に「廃プラスチック類の破砕施設であって、一日当たりの処理能力が五トンを超えるもの」と定められています。

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ですので、5トン/日以上の処理能力を持つ破砕機を設置する場合には、施設の許可を取得する事になるのですが、この手続きが非常にメンドクサイのです。

自治体によっては条例に基づき周辺住民の同意書を貰ってくるように言われる事もありますし、施設の稼働前には「使用前検査」として、都道府県知事等の立入検査が実施されます。また専門的知識を有する「廃棄物処理施設技術管理者」の配置も求められ、社内での人材育成も必要となります。

何よりも厄介なのは、「生活環境影響調査」の実施が求められる点です。施設の稼働に伴い懸念される騒音、振動、粉塵、悪臭、大気質、排水などについて調査・検討し、“役人”が理解できるレベルの報告書類を作成して提出しなければなりません。

これは専門的な知識や技術が必要で、実際には専門家に依頼する事になります。そのため非常に多くのコストが掛かりますので、小規模の事業者にとっては大変な負担になります。

この辺りの破砕機の処理能力の法解釈については、よくご相談を頂くのですが、結構“見落とされている点”がありますので、そんな一例を御紹介します。

以前、滋賀県の業者さんから、「発泡スチロールの破砕減容機を設置したいのだけど、施設の許可を取得するのに必要な生活環境影響調査を安くする方法って無い?」とのご相談を受けた事があります。

この業者さんでは、同一の事業所内(工場内)に600㎏の破砕機を3台設置する計画で、これに基づいて1日(8時間)の処理能力を計算しますと、14.4トン/日となり、施設の許可の対象(5トン/日以上)となります。

しかし、結論から言いますと、生活環境影響評価をする必要自体が無いのです。

なぜならば、本件で設置しようとしている破砕機は、廃棄物処理法15条第1項に定める廃棄物処理施設(以下「15条施設」といいます)に該当しないからなのです。

本件の発泡スチロールの破砕減容機は、粗破砕を施した後、熱溶融を行ってインゴットを製造するタイプの処理機です。

実はこの手の破砕機、つまり溶融を行う過程に組み込まれた破砕機については、15条施設に該当しないとの旧厚生省の通知(昭和47.1.10 環整2 環境整備課長通知)がありまして、許可自体が不要となっています。

この通知においては、

(1)設置の許可を要する15条施設は、いずれも独立した施設としてとらえるべき。
(2)一定の生産工程を形成する装置の一部として組み込まれた設備は、これに含まれない。

という旨が記されています。

そのため、「溶融工程に組み込まれた破砕機は、廃棄物処理法施行令7条に定められた処理能力以上のものであっても、許可の対象とはならない」と解されています。

したがって、本件の破砕機については、業の許可申請のみを行えばよく、許可申請の事前協議の折に、「破砕機が溶融工程の前段処理の一部に組み込まれているが、破砕自体が目的では無く、溶融がメインの処理である」旨を説明する必要があります。

この事前協議においてしっかり説明しなければ、変な疑いを持たれかねませんので、図面や能力計算書、処理の原理についての説明資料、装置のレイアウト図、装置のパンフレット、写真、装置のメーカーのパンフレット(役所からメーカーへ直接照会する事があります)などは必ず用意して臨んで頂きたいです。

ポイントは、「役人が破砕機単独で稼働する事ができず、あくまでも溶融工程と一体となって稼動する事が確認できるか」という事に有ります。

なぜならば、破砕機を自由に取り外す事ができれば、許可対象以外の廃棄物を処理することもできますし、そもそも施設の許可を取る手間を省くために“抜け道”として溶融装置を付属させのではないかとの疑いを持たれる可能性があります。

そのため装置の写真を持参し、図面を合わせて構造を説明する事が重要です。

例えば、下写真にしめした発泡スチロールの破砕減容機は、破砕部と溶融部が一体の構造をなっていますが、横面からではどの部分が破砕部であるのか分かりません。

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そこで破砕刃が見える正面の投入口の写真も撮影し掲示する必要があります。また溶融処理がメインである事を示す為に溶融部と溶融物の写真も必要です。

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卸売市場など大口の排出先では大型の発泡スチロール減容処理装置も稼働しており、高い処理能力を有する破砕機で粗破砕が施された破砕物が空送により一旦ストックタンクへ送られ、順次減容機へ供されつつ減容処理が行われるシステム構成が一般化しています。

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この処理システムにおいても、破砕機は「独立した施設」ではなく、あくまでも溶融という主たる処理の補助的な役割を担う存在であり、「一定の生産工程を形成する装置の一部として組み込まれた設備」であると解する事が可能です。

故に15条施設には該当しないと考えられ、施設の許可とそれに付随する一連の手続きは不要であると言えます。

但し、行政の担当部署での事前相談の折には、破砕機とストックタンクと減容機が空送パイプで連結されており、それぞれ単独での運用はされない事を写真や図面、仕様書などに基づきしっかりと説明する必要があります。

大切な事は、「何を説明しなければならないか」、「役人はどこを突いてくるか?」という点を事前に整理し、そのために必要な資料を用意する事に有ります。

許認可申請に際しては、法令のみならず、関係通知についても十分に調べておくと、思わぬ“抜け道”が見つかる事があります。

我が国の行政手続は信じられないぐらいアナログで、異常なくらい規制でがんじがらめになっているのですが、業を正統に営むためにはキッチリと手続きを行い、胸を張って仕事に取り組んでいきたいものですね。